暗闇を、ひたすら駆けていく。
すると、うずくまる麻耶の姿を見つけた。
「────麻耶!」
あたしが叫ぶと、麻耶は肩をビクッと震わせた。
「閖……………?なんでここに………?」
あたしはその質問には答えず、麻耶の目の前の敵に目を向けた。
「あんた……………誰?」
あたしがそう言うと、敵はニタリと笑う。
「ブレーヤーをログアウトさせる"ペプシン"と呼ばれる者……………さて、新入りと一緒に2人をログアウトさせてやろう。」
優雅にお辞儀をしたペプシン。
「そんなこと言って……………冗談に決まってるでしょうが!」
あたしはペプシンに殴りかかる、が、頬にあたったあたしの拳は、反動で跳ね返された。
何これ……………普通じゃない。
人間のような形をしているように見えて、実は全く違うもの。
鉄のように硬い皮膚が、それを物語っている。
「さて……………始めよう。」
「やめろ!」
「白河麻耶……高柳閖……gameover」
その言葉と同時に、何か硬いもので貫かれるあたしの胸。
あぁ…………刺されたのか。
多分、そこら辺に落ちていた破片でも刺したんだろう。
あたしは麻耶を助けることができずに、重い瞼を下ろした。



