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「ひなた、まだー?」
「あと5分!!!」
その言葉、確か5分前にも聞いた気がするけど…。
小学校に上がった頃には、
俺たちはすっかり仲良くなっていた。
気づけば、一緒にいるのが当たり前のような関係。
「よし!!
いくよ、修平!!!」
自分が遅れたくせに、なぜだか先に進みたがるひなた。
はぁっとため息をついて、俺はその後ろをついていく。
どこかあてがあったわけではないけど、
ひなたと一緒なら、
どこにいても楽しかった。
小学校3年生になったある日。
俺はいつも通りひなたと一緒に帰っていた。
すると、クラスの数名の女子に声をかけられた。
「ひなたちゃん!!
今日、私たちと帰らない?」
ひなたは友達があまりいないようで、
いつも俺にべったりだったから。
いい機会だ。
そう思って、ひなたにはその子達と帰ってもらった。
そのとき、
ひなたを連れていった女子たちが、
何をするかも知らずに。
ひなたの少しだけ不安そうな表情にも気づかずに。

