___4月
"丸山ひなた"
入学してからすぐ、
僕たち一年生の間に伝わってきた一人の生徒の名前。
美人で笑顔の素敵な一つ上の先輩。
そのときはなんの興味もなかった。
知らない人の名前を急にあげられても、知ったことじゃないし。
学校生活になれてきた頃、
僕はクラスの友人にこう言われた。
「一緒に丸山先輩見に行ってみないか?」
その目は好奇心に溢れたものだった。
噂されるほどの美人を一目見てみたい、という気持ち。
僕はそれほど関心を抱いていなかったが、どうしてもと頼み込まれて断ることができなかった。
"丸山先輩"のクラスは、
二年四組
先輩に興味津々の友達は、教室の前をうろついて先輩の姿を探した。
僕は隠れるように教室から離れていく。
「おい、佐久間!!」
少したってから、友達に名前を呼ばれ、
そちらの方を見ると、
手招きをされている。
めんどくさがりながらも行くと
「多分、あれが丸山先輩!!」
彼は興奮ぎみにある人をゆびさした。