「…千穂、熱でもあるの?」


「普通に平熱ですけど」





…おかしい。


いつも冷たい千穂に限って、
掃除なんてめんどくさいものを自ら手伝おうとするなんてまずない。




でも、それだけ恋に真剣ってことなら。






「ありがと、千穂!!」





今千穂がどんなことを考えているのかと思うと、自然と頬が緩む。




「なにニヤニヤしてんの?
 すっごい気持ち悪いよ。」





…こういうところは、
やっぱりいつものままだけど。







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ホームルームも終わり、
みんなが帰りの支度をしている頃。




「丸山ー」




私はドアの方から聞こえた声に反応する。





急いで駆け寄ると、やはりそれは先生だった。





「これ、鍵な。
 しっかりやるんだぞ!!?」







それには「はーい」と適当に返事をし、

私は千穂と資料室に向かった。






今日は修平も部活で帰りが遅いから、
お互いがすれ違うこともない。