俺の存在に気づいたひなたは、
こちらへ駆け寄ってきた。


でも、
先程のことを思い出したのか、
ふとそわそわし始める。




「えっと…
 どうしたの??」





「…なんで、佐久間といんの」






そう聞くと、ひなたは当たり前のようにこういう。




「なんかね、
 お家にいっぱい野菜が届いて、
 食べきれないからうちに…って。」







そう告げたひなたの顔には、
なん偽りもなく、本当にそう言われたのだと分かる。







チラリと佐久間の顔を窺うと、
ただこちらを見つめていた。




あいつは、なにを考えているのか本当に分からない。


俺からひなたをとろうとしているのだとしたら、怖い。






「なぁ、佐久間。」





俺は佐久間の方へと歩み寄った。



本人はというと、何かを察したように俯いていた。





「俺と、少しだけ話そう。」






出来る限りの優しい声を、彼になげかけた。


すると、佐久間は少しだけためらったあと、コクりと頷く。








ひなたはこの会話が聞こえていないようで、
一人キョトンとした表情を浮かべていた。





「ひなたは、家に入ってなよ」






俺がそういうと、不思議そうにしてから家の中へと入る。






バタン






扉のしまる音が聞こえて、

まずは俺が口を開いた。