気づいたときには、
もうお互いの家は目の前で。
「じゃあな」
ひなたとの別れを惜しみながら、
背を向けたその時。
後ろから、服の袖をくいっと引っ張られる。
その感覚に振り返ると、
そこには赤い顔をしたひなたが立っていた。
「…もう少し、
一緒にいさせて?」
…これは計算か?
そんなわけないけど、
こんなことを天然で出来るひなたは一体何者だろう。
しばらく呆然と立ち尽くしていると、
ひなたがその赤い顔のまま、
俺の顔を除いてくる。
俺の理性は、
その言動によってとうとう破壊された。
…ここまでよく耐えたと思う。
それだけでも、誉めてほしいくらいだ。
天然で、アホで、美少女な幼馴染みを持つと大変なんだよ。
身体の動くままに、
俺はひなたに抱きついていた。

