「飲み過ぎてない? 大丈夫?」 「っえ、あ、うん。大丈夫だよ」 「そっか」 「うん……」 左隣りから聞こえた声に、ぎこちなく言葉を返す。 それきり、沈黙。 人ひとり分あけたその位置には、高校の時から付き合っている彼氏がいる。 もうすぐ付き合って6年になる、私の大好きな人。 だけど、長い付き合いのはずの私たちの間に流れる空気は、ちょっと重苦しい。 その原因は、繋がれていない私の右手と、彼の左手。 寒いと感じる原因。