絶対零度の鍵



村に居たということは、この老人は一族の中の一人な筈だ。


「いつまで、村にいらっしゃったんですか?どうして村を出たのですか?」


液体の入ったグラスを傾けながら、蓮貴は訊ねる。


「いつまでだったかは忘れてしまいました。ただ、花が咲かなくなってしまったもんで…」



「花?」



口に流し込もうとした手を止め、老人の顔を見つめる。



老人は、どこか遠くを見るような眼差しで、前を見ていた。


「かわいいかわいい白い花でさぁ。」


蓮貴の頭に、いつかのあの花の映像が浮かぶ。