その間にも、煙は充満し、炎は棚と書物を次々と喰らって行く。 「鐘…げほっ…」 朦朧とした翠の頭には、書士の言葉が響いていた。 後継者の出る音…? 蓮貴… 蓮貴が行っちゃうの? 書士から腕を放して、翠はふらつきながらも、外への出口を探した。 だが、燃え盛る炎はとっくに翠の周りを囲っていて、逃げ道は残されていなかった。 「れ…んき…」 翠は叫んだつもりだったが、その声は掠れてほとんど音になってはいない。