嫉妬のワケがない。

 さっきの男のところに戻るのだろうが……やっぱり、幸恵が俺じゃない男と一緒なんだと思うと、イライラする。

 嫉妬、なんだろうか?これは。まさか。でも……。いや、そんなはずは……。

 頭の中をぐるぐると駆け巡る、色々な感情を打ち消すように、俺は自分の髪をぐちゃぐちゃに掻き回したのだった。





「そうよ。私は竜司の気持ちを分かっている。……分かるようになってしまった」


(……イヤでも顔を見合わせて言い合い喧嘩をしていたら、無理もないのかしら)


 竜司に背を向け、男のもとへ戻る幸恵は、自分に言い聞かせるようにぽつりと呟いた。


「――たとえそれが、竜司自身が気付いていなくても、ね」


END.