季節は春に近づいていた。
   



藤田くんとは相変わらず仲良し。




例年より少し早めの桜の開花予告に、暖かさを感じた4月。




この前まで殺風景だった通学路が華やかだ。





「もう新入生が入ってくる時期なんだなあ…」




真っ青の空を見上げると、
薄ピンク色の小さな桜が少しずつ咲き始めていた。




…可愛いなあ。

でもすぐに散っちゃうんだよね、桜って。





「…儚い…」




履きなれたローファーで、

すでに散ってしまった桜の花びらを踏まないようにして歩く。





「…うわ、っと……」