ハイカロリーラヴァーズ

 青司のアパートに到着して、あたしは早速、洗濯して干してあった洋服と下着をリュックに詰める。ここには忘れ物をしたとしてもすぐに取りに来られるし。

「そんなバタバタ準備しなくても」

「だって」

 洗面台に化粧水あったな……。アパートにも買ってあるけど、これは持って行こう。

「まるで、出ていくみたい」

 ケトルでお湯を沸かす青司が、ポツリと言った。あたしはハッとする。リュックに突っ込んだ手を止める。

「……そんなこと、無いけど」

 青司はお茶の用意をしてくれている。また、夏なのにホットなの。麦茶とか無いの? ウーロン茶でも良いよ。

「まぁ、ちょっと落ち着いてからにしたら。まだ20時だよ。元カレ、まだ帰って来てないんじゃない?」

 言われてみれば、そうかもしれない。
 あたしはリュックを床に置き、ソファーに座る。少し落ち着け。急いてはことを仕損じる、だ。

「何時くらいに出る?」

「21時……くらいで良いかな。ここからどれぐらいで行くだろう」

 ここからだと、電車か、タクシー……。

「バイクだったら30分かからないよ」

「バイクで行くの?」

「なにで行くの」

「電車かタクシーか」

「やだそんなの面倒だし。ヘルメットもあるから」

 青司はクローゼットから白いヘルメットを取り出した。

「怖いなぁ。あたしバイクの後ろって乗ったこと無いんだけど」

「大丈夫だよ」

 送ってくれるんだもんね。文句言ってたら罰が当たるよ。

「安全運転でお願い致します」

「承知致しました」

 なんだこの会話。