ハイカロリーラヴァーズ


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 アパート契約日、あたしは午前休を貰って、朝イチで不動産屋へ行き、部屋に入った。

 内覧した時よりも、自分の部屋っていう感じがする。これからもっとそうなって行くんだろう。

「ここが今日から、あたしの城……」

 ちょっと気取ってみたけど、まだ段ボールとマットレスしか無い部屋。テレビも電子レンジも無い。ベッド欲しいなぁ。なには無くても安眠って大切よね。

 とりあえず、カラーボックスに細かいものを入れておこう。重要なものは100円ショップで買った透明ケースに。下着とか洋服はケースのままクローゼットに入れるとして……。

 あれも欲しいこれも欲しいじゃ、いくらお金があっても足りないから、節約しないと。節約。

 貯金に手を付けないとだめかなぁ。あたしは給料通帳とは別にしている貯金残高を見ようと、通帳を探した

「……あれ?」

 おかしい。無い。銀行の通帳、印鑑はある。キャッシュカードはカードケースにあってそれはバッグの中。郵便局のカードと通帳、印鑑が無い。

 給料の振込は銀行だけど、貯金の通帳は郵便局に分けていた。あれ……どこへやったんだろう。

 まさか。忘れて来ちゃったのかな。無い。どこを探しても無い。バッグの中、ケースの中。持って来た荷物の中、どこにも無かった。

「……忘れて来たなこれ……」

 あそこ、源也の部屋に。忘れて来てしまった。決定だ。置きっぱなしにして良いものでは無い。だって、貯金だもの……。取りに行かなくちゃいけない。

 ああ……気が進まない。鍵はポストに入れて来しまったし、余計な合鍵なんか無い。居ないうちに取りに行くことはもう出来ない。ああ、なにやってるんだろうあたし。気が重い。行きたくない。でも貯金……。

 バタバタと出て来たから、こんな忘れ物が発生している。

 青司、一緒に来てくれないかな。ひとりで行きたくない。鍵を開けて貰うために、源也が在宅の時間に行かないと部屋に入れないし。あたしの馬鹿。おっちょこちょい。

 スマホを取り出して、青司にメールを入れる。今日は予備校へ行っているだろうか。午後からあたしも行くけど、校内で話をするわけにもいかない。

「マンションに、忘れ物してきちゃったみたいなの。今度、一緒に来てくれると嬉しい」

 返事はすぐに来た。

「いま予備校。午後からバイトだから終わったら連絡する」

 なんで普通に授業があるのにバイト入れてんのよ……全然改めるつもりが無いんだな。まったく。
 とにかく、マンションに取りに行かなくちゃ。それが今夜か明日かは未定。

 あと1時間もしたら、出勤の準備をしなくちゃいけない。まだ青司の部屋から全部の荷物を運び出したわけじゃないし、色々やることが山積みだ。

 とにかく、貯金通帳と印鑑を取って来ることが最優先。

 あたしは、髪の毛を縛り直して気合いを入れた。