ハイカロリーラヴァーズ


「クローゼットひとつ、でも大き目ですね。あと、ベランダがわりと広いです」

 女性スタッフさんが書類をめくりながら教えてくれる。ベランダが広いのは、お布団干すのに好都合だね。

「エアコンありまして……ええと、水道は定額、ガスはプロパンです」

「プロパンかぁ」

「気になります?」

 プロパンは料金が高い。

「あ、でもひとりだし、プロパンは地震に強いって言いますよね」

「聞きますねー」

 なんの話をしてるんだ。

「仙台駅に近いわりに、お家賃お手頃ですし」

「ここからなら、職場に自転車で行けるなぁ」

「お近いんですね」

 自転車を買おう。持ってないから。階段の横に、駐輪場があった。そこに停められる。

 あそこにベッドを置いて、テレビの線がここだから斜めにテレビを置いて……ベッドの横にパソコンかな。こっちに本棚……。

「いかがです?」

 いけない。勝手に妄想してしまった。

「決めました。ここにします」

 即決。家賃も予算内だし駅も徒歩圏内。職場に自転車で行ける。雨とか雪が降ったら歩けば良いし。

「ありがとうございます。早いですね。他の物件はご覧になりますか?」

「見たら迷いそうだし、ここが一番広いから。ここにします。すぐ契約します。荷物運びたいし」

「承知致しました。では店舗に戻りまして早速契約を。身分証お持ちですか?」

 そこからは早かった。早々に契約をすることになった。審査が通るのに急いで2日かかると言われ、入れるのは4日後の日付だった。じゅうぶんだ。仕事が早いって良い。良い不動産屋を選んだのかもしれない。

 家具を買う出費が痛いな。でもまぁ貯金あるし、少しずつ揃えれば良いか。まず洗濯機と炊飯器。アウトレット的なお店で買うか通販かなぁ。青司にも相談してみよう。

 スーパーで買い物を済ませ、青司のアパートに帰ってきた。
 帰ってきたこと、アパートを契約してきたことをメールした。ちゃんと授業に出ていれば、帰ってくるのは21時過ぎるはずだから。

 ああ、疲れたな。これから、新しい生活が始まる。青司と、あたしと。暮らす場所は違っても、一緒に静かに育んで行きたい。

 ソファーに体を預けると、安心したのもあってか、あたしは眠ってしまった。