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「改札のところに居るから」
電車がホームに滑り込むと同時に、青司からメールが入った。改札まで迎えに来てくれているらしい。
大荷物なのと体の痛みのせいで、なかなか前に進まない。息切れを起こしながら、やっと改札まで来た。向こうに、キョロキョロする青司を見つけた。ICカードをタッチして、改札を出る。
「青司」
手を振ると、こちらに気付いた青司が笑顔で駆け寄ってきた。そして、一瞬にして笑顔を崩す。
「華さん……」
「?」
青司は険しい顔であたしの荷物を奪うように持つと、手を引いて「無理しないで。でも早く行こう」と独り言のように言った。
「青司、どうした? ごめん、待たせたね」
「違う。華さん、自分がいまどんな顔してるか分かってないだろ」
「顔?」
外に出ると、青司は手を挙げてタクシーを停める。
「どこ行くの? あたし不動産に行きたいんだけど……」
「俺んち。1回落ち着いてからにしたら」
あたしをタクシーに押し込んで、荷物をトランクに頼み、住所を伝える。夕方のラッシュにさしかかる時間帯だった。道路はテールランプの列が出来ていた。
タクシーの運転手は、混んでいるから裏通りを使いますと言って、走り出した。
ラジオだけが聞こえる車内。青司はあたしの手を握りしめている。
「今晩、一緒に居るから。用事無いし」
「青司……あの」
「なにされたかなんて、想像が付く」
そう言って、青司はあたしの唇を指でなぞった。



