「お前だってどっかのクソ男とやってんだろ? 俺にバレてないつもりでいたのか」
下着を取られて、つい数時間前まで青司に抱かれていた体に爪が立てられた。
「痛……!」
「ほらまた、俺のじゃない煙草の匂いがする」
その冷たい声を聞いて、背筋がすうっと冷えていった。
もしかして、気付いて……いたの?
自分と違う煙草の匂い。源也は、気付いていた。あたしが、外でなにをしてこの部屋に帰って来ていたかを。
「源也」
「どうせ別れるなら、最後にどうなったって良いよな」
源也の鋭い目。どうして、なんで。痛い。怖い。
「俺と別れて、どこかの男とよろしくやるんだろ?」
「やめ……!!」
腹部に衝撃があって、目の前が霞んだ。その視界に、ネクタイをワイシャツから引き抜く源也の姿が映る。手をそれで縛られ、下着を取られる。
あんなに抱いて欲しくて、恋しくて望んでいたのに。源也に抱き締めて貰えることが、願いだったのに。抵抗する手足は押さえつけられて、力では敵わない。
助けて。助けて、青司。
叫びにならない吐息が、喉から細く出る。ヒュウヒュウと、細く。
恐怖と苦痛と、嫌悪する微かな快楽。それが波のように押し寄せて、思考を止めていないとどうにかなりそうだった。
ただこの悪夢が早く終わってくれるように、白い天井を見ていた。



