「別れる? なに寝言を言っちゃってんの……」
「寝言でも冗談でもないの。別れよう、源也」
はっきり言わなくちゃ伝わらない。ここ最近で、これだけはっきり自分から気持ちを伝えたことは無かったかもしれない。もう、終わりにしよう。
「源也の顔色を伺って生活するの、疲れました……」
なんでだ、どうしてだと問い詰められたくない。もう、源也とは一緒に居られない。はっきり言わないとだめだ。
あたしの言葉が切れると、源也がソファーから立ち上がる。
「華」
「あたし、出て行くね」
「おい」
背の高い源也が近付いてくる。反射的にビクリと肩が動いてしまう。
「なに言ってんだ」
体が固くなる。また叩かれたりするんじゃ、ないかって。
「お願い。ごめんなさい。あたし、もう」
「ふざけんな」
あたしは寝室の荷物のところへ行こうとした。その前に源也が立ち塞がる。スリッパが鈍い音を立てた。
「引き留める理由なんて無いでしょ? あたしのこともう好きじゃないくせに!」
源也の首もとにだらしなくぶら下がったネクタイは、あたしが選んであげたやつだった。
「なんだ、他に男でもできたのか。昨夜はそいつと一緒に居たんだろ。だから帰って来なかったんだろ?」
言いながら、源也はあたしの肩を掴んだ。指が食い込む。
「なん、離して! もう嫌……あたしに興味無いくせに。源也と居ると、息が詰まる……!」
「てめぇ」
「源也だってあの女……!」
カードの女と。
思わず口走ったあたしの言葉に、源也の動きが一瞬止まった。それの反応が答えか。



