「あ、夕飯これからなんだけど、その前にあたし、話が……」
話を切り出したらきっと夕飯どころじゃなくなるとは思うけれど、話さなくちゃいけないことだった。
「ちょっと調子悪くて、今日は早退してきたんだ」
「え? 具合悪いの?」
源也、体調が悪かったのか。あまり話を切り出す雰囲気では無いらしい。でも、黙っているわけにはいかない。
「話って、なに」
ペットボトルを持ったままソファーに戻ってくる。疲れた様子でどっかりと腰をおろした。あたしは洗濯物をそのままにして、リビングに戻り、窓を閉めた。
「……なんだお前、その荷物」
寝室に視線をやっている源也。散らかっている荷物に気付いたようだ。こんなに早く帰ってくると思わなかったから、荷物はまだまとまっていない。
「引っ越しでもすんの?」
無断で外泊したこと、聞かないの? 昨日、あたしがどこに居たのかとか、そういうことは聞かなくていいの?
なんて、言ったら良いのか、分からない。黙っていると、源也がまたひとくち、ペットボトルの水を飲んだ。
「あたし、あの」
喉でつかえて、言葉がうまく出てこない。でも、言わなくちゃ。ちゃんと、あたしの口から。言わなくちゃ。
ひとつ、深呼吸をする。そして、目をちゃんと開けて、源也を見て。
「源也……別れて欲しい」
別れて。
「なに」
「別れたい……の……」
言った。言ってしまった。もう後戻りはできない。
「なに言ってんの、お前」
「源也」
呆れたような顔であたしを見ている。冗談だと思っているんだろうか。



