ハイカロリーラヴァーズ


 地雷を踏んだのは青司。あたしは動けない。品の無いホテルの照明が、あっちにあるブラウスを照らす。空耳だったら良かったのに。

「好きになっちゃったよ、華さんのこと」

「……」

 ぐちゃぐちゃのベッドの上。あたしは青司に背中を向けて、パンストを履いている。

 不特定多数、少し美人で自分のタイプで、遊べるなら誰でも良かったはず。利害関係の一致だけの関係だったのに。

 関係を続けている間に、なにかが変わった。静かに、音を立てずに。ふたりとも、それになんとなく気付いていたのかもしれない。

 パンストを履き終わり、ブラウスを拾い上げた。それを羽織る。ブラウスの側に開けられなかった避妊具。

 どうして今なの。この関係を終わりにする為の変化なのか……。あたしは、一体どうしたいのか。遊びで、良かったはずなのに。

「終わりにしようって、思っただろ」

 元から、さっぱり終われるような関係だったはず。そうしようとしてたし、感情なんか元から無かった。無かったはずだった。

「おい」

「やめてよ」

 肩を掴まれた。もうあたしは泣いてなんかいなかった。振り向けば青司だけしか居ない。当たり前だけど。最初からあたしの前には青司しか居ないのだから。

「こっち向いてよ」

「なんで……いま言うのよ」

「なんでって。ちょっと前から思ってたし、俺は………」

「やめて。そうならないのがこの関係の良いところだったんじゃないの」

 青司は源也のことを知った上で、あたしは青司が特定の相手を作らないことを都合良く思ったから、この関係を築いていた。それなのに。

「そうじゃなくなったんだから、仕方ないだろ」

「あ、あたし」

 あたしは、青司を……。
 関係を終わりにする? それは、青司と会えなくなるということだ。