ハイカロリーラヴァーズ


「なぁ、華さん、今日はこれからどうすんの?」

 小さい声で、青司が聞いてきた。

「どうすんのって、帰るよ」

「えー」

 ビールはグラスの半分くらい。おかわりはいらない。1杯飲んだら帰るつもりだった。

「ちょっとさ、バックレない?」

「は?」

 またアホなことを言い出すなぁ。テンション上がってるんだろうけど。

「居なくなったって誰も気付かないよ」

「気付くでしょ……なに言ってんの」

 青司は席を立つと、リュウセイくんのところに行き、なにか言葉を交わして、そして戻ってきた。

「帰るなら送るよ」

「あ、うん……そうだねそろそろ」

 まだビールが残ってるけど、青司しか知り合いが居ない飲みの席にずっと居られるほど図太い神経の持ち主じゃない。もう、とっとと帰りたい。

「じゃあ、失礼します」

「送ってくっから」

 近くに座っていたバンドメンバーらしき人達に挨拶をして、宴の邪魔をしないように青司と店を出た。

 店を出るとモワッとした熱気。夜になっても暑さがひかない。天気予報通り熱帯夜なんだな。帰ったら冷たいビールを1本飲みたいな。

 さすが週末。人が多い。どこかへ繰り出すのか、これから帰るのか。

 青司と並んで歩きながら、そのへんに青司のファンが居たら困るなと、少し歩幅を小さくして遅らせた。