ハイカロリーラヴァーズ


 強引に連れてこられた打ち上げ会場は、先日来た店だった。
 青司から招待チケットを渡された時に使った、創作イタリアンの小さな店。来ちゃったけど……良いのかな。なんだか怖い。場違い。

「どこ行ってんだよ、青司」

「身内帰るとこだったからさぁ。連れてきたよ」

 ……身内? それ業界用語なの?

「美人を増やしたから」

「こんばんわー」

 ああ、ベースの人だ。こっちはギターの子。みんな青司と同じような年頃なんだろうか。うちの予備校の生徒じゃないと思う。

「こ、こんばんわ。お疲れさまです。すみませんあたしまで……」

「いやいや、来てくれてありがとうございます。打ち上げ混ざってってー」

 ベースがそう言ってグラスを渡してくれ、ビールを注いでくれた。そして、別な人のところにビールを注ぎに行く。気が利く子なんだな。

 青司は「椅子、足りっかな」とか言いながら、あたしにも席を空けてくれた。

「気にするような感じじゃないって。ひとり増えても誰も気にしないから」

 たしかに。打ち上げっていっても、みんなお腹空いてご飯を食べてるって感じ。店の入口には、貸し切りのプレートが下げられていた。

 青司は、メンバーの紹介をしてくれた。紹介って言っても「あっちで騒いでいるのがベースのリュウセイ」「あのおにぎり食ってるのがドラムのゴウ」「寝そうになってるのはギターのアツシ」っていう程度のものだけど。

 あまり店が広くないので、今日の出演バンドメンバーとプラスアルファでいっぱいだ。椅子を追加で出してる感じ。あたし、本当に肩身が狭いんだけどなぁ。1時間くらい居たら失礼しよう。