ハイカロリーラヴァーズ


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 土曜の夜。なんとなく街は浮かれているように見える。週末だから、または自分の心が少し浮かれているからか。
 
 ライブは週末だなぁと思いつつ、それが2日後だったこともあって、あっという間に青司のバンド主催イベント当日だ。

 仕事があったので、とりあえずは通常運行でこなし、帰り間際で頼まれるような仕事も無く、すんなり予備校を出ることができた。

「地下鉄かバスか……歩いたらちょっと遠いんだよなぁ」

 ひとり言を呟きながら、スマホで乗換案内を見る。18:30スタートで、今は19:30ちょっと前。オープン時に入ることはできないと予想はしていたけど、トリに出る青司のバンドには間に合うだろう。

 持ち時間40分程度だって言っていた。転換に10分。押していなければ2バンド目の始まったあたりか。駅へ行って地下鉄に乗る余裕はありそうだ。バスだと、どの停留所で降りたら良いのか分からない。

 急いで駅へ向かう。ねっとりとした暑さが張り付く熱帯夜だった。少し歩くと汗が出てくる。ちょっと気持ち悪いな。

 ホームへ降りると、タイミング良くホームに地下鉄が滑り込んできた。吐き出される乗客を縫い、足早に乗り込んだ。

 地下鉄を降りて地上に出ると、歩いて1分もしないで目指すライブハウスがあるはずだ。

「……あ、ここか」

 場所はすぐに分かった。大きなネオン看板と、金髪茶髪の兄ちゃん達が入口に数人居たからだ。

 客なのか出演者なのかスタッフなのか……。とりあえず、早く中に入ってしまおう。この時間だと、2バンド目がまだ演奏をしている頃だと思う。

 地下へ続く階段。黒い壁とベタベタ貼られたポスター。受付カウンターに貰ったチケットを出すと「ドリンク代500円です」と言われた。そうだった、忘れていた。

 半券とドリンクコインを受け取って、更に進むと、コインロッカーがある通路のあちこちに女の子達が座っていたり立っていたりしている。……ちょっと邪魔だなぁ。引き換えたドリンクを飲んでいたり、メイク直しをしていたり。見ないのかなぁ。お目当てのバンドが終わったのかな。

 手に持っていた半券とコインをスカートのポケットに突っ込んで、ライブスペースへ急いだ。たぶん3バンド目が始まっている頃だと思う。

 ホール入口ドアの手前は、ドリンクカウンターとモニターがあるラウンジになっていた。たくさん椅子があるわけじゃないから、ファンの子達が床に座っている。

 とにかく入ろう。あたしは重いドアを開けた。