「昼間、なんで泣いてた?」
「えー……」
触れないでいてくれていたのかと思ったけど、違った。そんな質問に、すらっと返せるわけが無い。グラスを持つ手に少しだけ力が入ってしまった。
「なんかあったの」
「ああ、まぁ仕事でちょっとミスって」
適当なことを言っていると伝わってしまっているかもしれないけれど、そう返すしか無かった。
「違うだろ」
「違わないよ」
お新香を取って、口に入れる。
「働くって難しいの」
なに言っているんだ。ちょっと嫌味になってしまうじゃない。そうグイグイ聞かないで欲しい。
「ふうん」
「そんなに突っ込んで聞かないの。女性に優しく」
「へーへー」
ごまかしたい空気は読み取ってくれたみたいで、それ以上は聞かれなかった。
楽しい酒の席で湿っぽい顔はしたくない。だって、あたしの心の中だけのことだから。青司に関係無いことだから。



