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次の日もその次の日も、朝から気が重くて、仕事をのろのろこなしていると、制服ポケットに入れてあるスマホが振動した。メール。青司だった。
「俺、華さんに用事あるし、今晩メシどう?」
昨日も一昨日も、青司の誘いを断っている。本音を言えば、源也にも青司にも会いたくなかった。でも……夕食と少しのお酒で、気晴らしにはなるかもしれない。そんな言い方は失礼か。
あたしは、返事をなんて送るか考えながら画面をタップする。もうすぐお昼だ。今日はなにを食べようか。またお蕎麦かうどんかな。コンビニは味気ない。
「いいよ。あまり遅くならないように帰る。今日はホテル無し」
そのままなだれ込むのは嫌だ。そういう気分じゃない。あたしはね……。返事はすぐに来た。「いいよ」という言葉と、待ち合わせの店と時間。先日行った店だ。
スマホを仕舞うと、ひとつため息をついた。
クッキーと一緒に入っていたカードは破って捨てた。どこかに仕舞っていたら、あの斜めになった文字を見て黒い感情が沸き出してくるだろうから。あんなもの、手元に置かない方が良い。
今日は19時に終わる予定だから、そのまま青司と会おう。食事して、あとは帰ろう。源也は遅いかもしれない。帰って洗濯して、一応食事の用意を……。
「……バカバカしい」
思わず口を突いて出た言葉。源也は、他の女と会ってくるかもしれないのに。仕事の後、飲みにでも行って、抱き合ってくるかもしれないのに。
そう考えると、鼻がツンと痛くなった。
「華ちゃん、お昼どうするー?」
リエちゃんの声にはっとする。いけない。今はだめだ。
「あー……ちょっと終わらせたいことあるから、ごめん、今日は先に食事してきていいよ」
「そっか、了解でーす」
明るい彼女の声がなんだか辛かった。
リエちゃんは、帰ったら家族の為に温かい食事を用意して、笑顔で食卓を囲むんだろう。なのに、あたしは……。



