「だめでしょうさすがに……仕事でしょ? 事務所の人とかスタッフさんとか居るんでしょ?」
「そうだけど。どうしても用事あるから、明日の打ち合わせまでには戻るって言ったから」
もう言ってあるわけ? なんでそんなに前のめりなのよ。あとで怒られたって知らないんだからね。
「そんなわがまま言ってだめじゃん」
「だって華ちゃん来てるのに、放っておけないだろ」
「青司」
「だめだよ、会いたい。華に会いたい」
あたしだって、会いたい。そんな風に言わないで。会いたくて会いたくて、仕方がないのに。
「……俺に会いたくないのか?」
消えそうな声で、言わないで。
「会いたいよ……馬鹿。あたしだって!」
小走りで、コンビニの外に出た。だめ。泣きそうなんだもの。
「早く来てよ……青司。抱き締めて欲しい……」
「……分かった。待ってて」
ホテル名を告げると、電話は切れた。
恥ずかしい。良い歳の大人なのに、こんなの。だけど、今日の青司にはいましか会えないの。離れていたくない。
ホテルの場所は教えたけれど、部屋ナンバーを伝え忘れた。買い物もしていないし、空腹だし。寂しいし。馬鹿じゃないの。涙が止まらない。



