ハイカロリーラヴァーズ





 そんなに暴れたわけでもないのに、泣き疲れたのか、クタクタになってホテルへと到着した。ライブの余韻は醒めない。

 お腹が空いていたけれど、食事をしないでしまったな……そういえば、朝ご飯を食べたきりで、なにも口にしていないことを思い出した。

 コンビニに温かいスープでも買いに行こうか。ひとりでこの時間に居酒屋に行こうとは思わない。ファミレス……気乗りしない。この部屋でテレビを見ながら簡単に済ませよう。

 スマホと財布を持って、部屋を出る。すぐ近くにコンビニがあるんだ。もう22時を過ぎている。明日のチェックアウトは11時。わりとゆっくりできるはず。

 信号を渡って、煌々と電気が点いているコンビニに入る。陳列棚を見ながら、考える。なににしよう。チンするものよりも、部屋のポットでお湯を沸かして食べられる温かいものが良いな。あと、1本だけ、飲んじゃおうかな。今日のライブの成功をお祝いして。ひとり打ち上げでもしよう。

 青司が一緒だったらな。
 お疲れさまーってビール飲むのに。ご飯食べて、テレビ見ながら寝っ転がって、そのまま寝ちゃうのを起こしたりして。

 ……会いたいな。


 その時、手に持っていたスマホが振動した。着信。見ると、青司だ。なんだ。打ち上げとかやってるんじゃないの?

「……はい」

「もしもし? 来たの? 帰ったの? いまどこ」

 矢継ぎ早に質問される。ちょっと待ってひとつずつゆっくり……。

「……お疲れさま……」

 なんだか、電話の向こうがガヤガヤしている。なんとなく想像が付くんだけれど、やっぱり、打ち上げをしているんじゃないだろうか。

 どこで打ち上げしているのか分からないけれど。もしかしたら、ライブハウス近くのお店で飲んでるのかも。

「行ったよ。少し前にホテル帰って来た。いま、食べ物を買いにコンビニに来てたの」

「コンビニ?」

「お腹が空いちゃって。お昼も食べられなかったから。青司は打ち上げでしょ?」

 喋りながら、雑誌コーナーへ移動する。店内は誰も居なかった。

「もう俺、抜けるって言ったから。乾杯終わったし。どこのホテル泊まってんの?」

 デジャヴか……前もそうだった。もう、これも仕事のうちなんだから居なくちゃだめでしょうに。