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アンコールが終わっても、客電が点いても、しばらく放心状態で座席から立ち上がれなかった。
満足げな表情で、ファン達は帰って行く。
いつまでも座っているわけにはいかないと、静かに立って出口へと向かった。
1階スタンディングのファンはみんな汗だくで、でもとっても楽しそう。「セトリが殺人的だった」「モッシュ半端無かった」なんて言いながらタオルで顔を拭いている。
楽しいのは良いけど、怪我人が出ないことを祈る。
あたしもね、楽しかった。格好良かったよね。「crimson」のライブを見て、こういうのを言い合える人が居ないのが残念だった。
楽しかったのに寂しい。楽しみが終わってしまった寂しさと、ひとりで帰ることの寂しさ。そんな感じかな。
ライフハウスから出た人達は、四方八方に散っていく。駅へ行く人、駐車場へ行く人。様々だ。
振り返ると、夜空に浮かぶ宇宙船みたいなライブハウス。2時間程の航海から帰って来た。あの中に、まだ青司が居る。
あたしは、駅へと吸い込まれる人混みに紛れて、ライブハウスをあとにした。



