ハイカロリーラヴァーズ


「凄いね。みんな分からないと思うけど、圧巻だよ。気持ち良い。最高です」

 ああ、喋った。

「後ろ、見えてる? こっちからは丸見えだからね。盛り上がってないと目立つよ!」

 リュウセイはお喋りがうまいから、安心して聞いていられる。引っ張ってるものね。

「まだまだ行くからな。ついて来いよ!!」


 煽って煽り倒して、ステージ上を走り回るメンバー。ドラムも楽しそうにスティックを回し、リズムを刻む。

 ミディアムバラード、アップテンポ、足踏みしたくなるような曲。ワクワク踊りだしたくなるような曲。織り交ぜてファンを魅了している。

 感動と熱に浮かされたように、リズムに乗るファンの感情は最高潮だった。ああ、激しく動いてるわけじゃないけど、見ているだけで息が切れる。

 何曲かあって、またMCのようだ。東京に来て、どこに行ったとかそういうことをリュウセイが喋って、また青司に話を振る。あまりのグダグダっぷりをいじるっていうプレイみたいだ。面白いから良いのかな……。みんな笑ってるし。

「あっほら! リュウセイがいじるから。忘れるところだったよ」

「あれ?」

「そうあれ。お知らせ」

 お知らせ? なにかあるのかな。「なにー?」と会場から声が上がる。いっぱい溜めてから、ようやく口を開く。

「……タイアップが決まりまして」

 ワァッとまた声が上がる。それと拍手。タイアップ? 凄いじゃない。初めて聞いた。ベラベラ喋って良いことじゃないもんね、そうだよね。おめでとう。凄いよ凄いよ。それしかない。会場からも「おめでとー!」という声が上がった。

「アニメです」

 アニメのタイアップ。凄い。メジャーは決まるわ、タイアップは決まるわ。凄いよ。本当に。がんばってる。努力が実ってる。

「こんなね、嬉しいことがあるのも、応援してくれるみんなのおかげです。ありがとう」

 拍手が起こり、それが止むのを待って、青司は静かに言った。

「……俺ね、バンドだけしか一生懸命やってなくて、それしか無かったのね。他のことに興味無くて、進学とか勉強とか」