ハイカロリーラヴァーズ


 送られて来たチケットは、2階指定席。1階はスタンディングになるそうだ。またこの間みたいに壁の方まで追いやられてギュウギュウになるのは嫌です。

 中に入ってしまおう。スタートまで30分くらいあるけれど、その辺で迷って間に合わないのも嫌だ。なんかあたし、今日ずっとこんなことばかり考えてるな。


「Bの150番までのチケットの方、入場願いますー!」

 拡声器を持つスタッフが入場整理を行っている。そうか、大きい会場だから、チケットあるからって勝手に入れないのか。

 2階席が呼ばれるまで、順番待ちの列に並ぶことにする。
 なんか、みんなお揃いのタオルを持っている。グッズだ。凄い疎外感。あたし持ってない。CDも持ってないんだけど……いいよ、仙台に戻ったら買うから……。

 ブツブツ言っていると、2階席入場が始まった。やっと入れる。

 エントランスを通り、階段をのぼって2階へ行く。ぐるっと見渡す、広いなぁ。2階席は、結構傾斜が大きい。すこし右寄りの、前から2番目の席だった。どこでも良い。見られれば。
 
 座席に座り、小さめにしたショルダーバッグを膝の上に置く。緊張する。上から見る1階フロアは、人がたくさん入っていた。凄い。2階席もほぼ埋まっている。

 スマホを見てみると、電波が悪い。まぁ、ライブハウスなんてこんなもんかな。
 緊張で吐きそう。あたしが歌うわけじゃないんだけど。ああ、この時間って寿命が縮まるわ。

 期待と緊張。ライブ前の高揚感。もうすぐ、異空間が始まるんだ。

 深呼吸を繰り返していると、流れていたSEの音量が上がった。それと一緒に、客電がすうっと暗くなった。

 客席のボルテージが一気に上がって、声が上がる。ライブが、始まる。