駅構内が複雑。慣れなんだろうな。あたしも東京で暮らしていたら、スイスイ行けるようになるんだろうね。出口……あっちか。
地上に出ると、もう陽が傾いて来ている。時間にはまだ余裕があるけれど、でもなんだかソワソワしてしまう。
歩いていると、ホテルの看板が見えてきた。あそこだ。良かった。ホテルまで、複雑な道のりでなくて良かった。とりあえず、迷わないで到着できた。
ホテルに入ると、向こうにフロント。白くて綺麗なホテルだ。フロントの女性と目が合う。
「いらっしゃいませ。ご宿泊ですか?」
「はい。予約していました池田です」
「少々お待ちを……はい、それでは池田さま、6階の……」
カードキーを渡され、もう部屋に入れるというので、荷物を置きに行くことにした。
部屋に入ると、バッグを投げ出し、パンプスを脱ぎ捨てる。
ああ、ここまで来るのに疲れてしまった……。ベッドにドサリと倒れこんだ。スプリングが音を立てる。このまま眠ってしまいそう。静かだ……。
一瞬、意識が遠くなる。いや、まだ夜は長いのよ。華、ここで寝るわけにはいかないのよ。おかしいな、寝不足かしら。
むくりと起き上がる。
準備しないと。のんびりしているわけにはいかない。
なるべく身軽な荷物にしよう。余計なものは置いて。それこそ、スマホと財布だけでも良い。あとハンカチとティッシュと、免許証とカードと……いやいや、減ってないよ華、しっかりして。
ああなんだか、ソワソワする。ドキドキ。ライブなんだよ。
いままで行ったライブとかコンサートの中で、一番ソワソワドキドキするかもしれない。
あんまり時間をかけていると、あとでバタバタしそうだ。さっとシャワーを浴びて体を清める。身支度をし、ホテルの部屋を出ることにした。



