+
次の日、あたしと青司、松河先生は別々に校長室へ呼ばれた。あたしの体調は回復していたから、問題は無かった。
あたしは一番最後に呼ばれたらしい。昨日の騒動は数人の生徒と先生が見ていたし、青司の叫んだ言葉から「男女の痴情のもつれ」みたいだということは、余程の鈍感じゃない限り、分かる。
あと、あたしの格好を見ても。
きっと、予備校中に広まったことだろう。
静かな残暑の光が入る、校長室の大きな窓。本棚や額などがあるけれど、自分が通っていた中学や高校の校長室ってどんな感じだったっけ、そんな風に見ていた。
「体調は、いかがですか? 池田さん」
校長は静かに聞いた。校長室の応接セット。そこに向かい合って座っている。ソファーが柔らかい。
「はい。大丈夫です」
「風邪ですか?」
「いえ、軽い貧血みたいなものだと……」
「怪我が無くてなによりです」
「……すみません」
なにを聞かれても、素直に答えよう。もう隠せないし、こんな騒ぎになってしまっては、言い訳もできない。
「校長、この度は大変ご迷惑をおかけいたしました。申し訳ございません」
まずは謝罪するしか無い。あたしは立ち上がって、頭を下げた。予備校に、迷惑をかけてしまった。
「お座りください。少し、お伺いしますが……」
言われて、静かに座り直した。落ち着き無く手を握って、うな垂れてしまう。
「荻野青司とは、関係があるのですか?」
「……はい」
「お付き合いをしているということですか?」
「……はい」
「松河先生とは?」
「……なにも、ありません」
「乱暴されたと……」
「合意の上ではありません。それに、未遂でした。その……松河先生は、あたし達のことを……」



