「俺の華に触るな!」
あたしは止められずに、ベッドからやっと体を起こして、その大惨事を見ていた。
そのうち、他の先生が止めに入り、鼻血を出した松河先生は運ばれて行き、青司は大人達に押さえつけられていた。
「青司!」
よろよろとベッドから立ち上がって青司のところへ向かおうとすると、見ていた女子生徒があたしの体を支えてくれた。はだけた胸と破れたパンスト。見ればどういうことかたぶん分かってしまう。
「大丈夫ですか?」
「……ありがとう」
「先生呼んできます!」
「ごめん、あたし大丈夫だから、なにもされてないから。大丈夫」
支えてくれている女子生徒が、泣きそうな顔であたしを見ている。ごめん、こんなところを見せてしまって。申し訳なくて仕方が無い。
「びっくりさせてごめんね。大丈夫だから、教室に戻りなさい」
「でも」
「本当に。大丈夫。ありがとう」
ここに長く居させてはいけない。こんな現場に居ちゃだめだ。この事態をなんとかしないと。動けないなんて言っていられない。あたしは保健室の電話を取ると、内線で事務室へかけた。
「はい事務室」
「すみません。池田です……保健室に、リエちゃん来て貰ってください」
「あ、はい。どうしました?」
「あとで……すみません早く」
電話を切ると、女子生徒を保健室から出した。青司を押さえつけていた先生が「どうした、なにがあったんだ」とか言っている。こんな状態で話せるわけが無い。
あたしはそばに寄り、言葉をかけた。
「離してあげてください。ごめんなさい。大丈夫なんで」
「けれど……!」
もう、落ち着いている。青司だってあんなところを見て怒っていたんだから。何度もお願いすると、渋々、青司は離された。起き上がって手を握ったり開いたりしている。痛めたのだろうか。
「大丈夫?」
「華ちゃん、大丈夫か」
「なんともない。あたしは大丈夫。なにも無い。安心して……」
「あいつ。なんなんだよ……!」
バタバタという音が聞こえて、その方向を見ると、リエちゃんが血相を変えて走って来た。



