「あ……」
「池田さん?」
景色がすっと白くなる。いけない、貧血かなにかだ。そう考えていると、腕を誰かに支えられる。誰かって、そばに居るのは松河先生。
「なんだ。具合悪いんですか? 仕方が無いなぁ」
うまく歩けない。気持ち悪い。先生に肩を貸されたまま、エレベーターに乗せられた。
「すみません……」
「夜通し荻野とセックスでもして寝不足なんでしょ」
言うことが下品過ぎる。どこまでクソ男なんだ。腹が立つ。
「このまま倒れられても困りますから、僕が」
何階だか分からないところでエレベーターを降りた。少し歩いて、ひとつの部屋に連れて行かれる。うまく見えない目で見ると、どうやら保健室だった。
「世話の焼ける人だ……」
とても面倒臭そうに言うと、あたしを空いているベッドに乱暴に降ろす。
助かった。少し横にならせて貰おう。基本的に生徒が使うところだけど、少しだけ……。
予備校の保健室は、ベッドが数台あるだけで、診察できるような設備は無いし、養護教諭が居るわけでも無く。
松河先生がなにやらその辺を歩き回っているのが見える。
「ここ鍵無いんだっけ。まぁ良いか。誰も居ないし」
カチャカチャと金具の音がする。見ると、先生がズボンのベルトを外しているところだった。
「せんせ……」
「動けないなら好都合です。先日はやりっぱぐれましたから」
ドサッという音と共に、あたしに覆いかぶさってきた。嘘でしょ? ここで、いまここで……!
「やめて、誰か入って来たら……!」
「来ませんよ」
青司とここでこんなことがあった……なんで。誰か助けて。嫌だ、助けて。
「たす、けて」
気持ちが悪い。体が動かない。ブラウスのボタンが外されて、スカートがたくしあげられている。抵抗しても、弱々しく、男の力には適わない。
「せいじ、せいじ……」
このまま、汚されてしまう。青司が触れた体を、誰か、誰か……。嫌だ。やめて。



