ハイカロリーラヴァーズ


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 次の日も、その次の日も、特に音沙汰無く過ぎていった。いつ松河先生から呼び出しが来るのだろうかと不安になりながら、でも仕事を休むわけにもいかずに。仕事は仕事。

 同じ職場、同じビルの中に居るんだから松河先生とすれ違うことは当然あった。でも、先生はなにも反応せずに「おはようございます」とか「お疲れ様です」とか、声をかけてきた。ニヤニヤしながら。

 呼び出しが来ないまま、数日が経つ。青司ともあれから連絡を取っていない。予備校には来ていないのかもしれない。

 おかしいと思っているだろうな……きっと。メールや電話攻撃をしてこないだけ、まだ良い。忙しいと思って、そっとしてくれているのかもしれないし。自分に都合良く考えてしまうけれど。

 また昼休み時間が来る。この数日、朝食も喉を通らないのに、お昼か……でもなにか食べた方が良いのかな。食べたくない。気持ち悪い。

「池田さん、こっちのプレ資料って何部刷ってましたっけ?」

 同僚の男性事務員がクリップで留めたプリントの束を持ってきた。

「あ、これは、こっちが現役の分、これが4年生からので……」

「失礼します」

 事務員室のドアが開いて、人が入って来た。見ると、松河先生だった。

「池田さん、少し宜しいですか?」

 あたしに向かって、手招きしている。

「あ、プリント分かったんで、あと僕やっときますね」

「す、すみません……」

 入口を見ると、ドアにもたれて先生が立っている。こっちを見ている。

 お昼休み、松河先生、呼び出し。来た。まただ。

「あ……」

 体が思うように動かない。ぎこちなく椅子から立ち上がると、重い足取りで事務員室を出た。

「ちょっとお手伝いを頼みたいんで」

「……先生、あたし」

「今日は大人しくしてください」

 やっぱり。
 先生はエレベーターへ向かって歩き出した。ついて来るように促される。

「逃げるかと思ってましたが、出勤してるんですねぇ。根性あるというかなんというか」

 その嫌味に言い返そうと思った時、足元がふわふわと揺れた。