指定時刻5分前。もう良いだろう。自分がクラス担任室に居るから読んだはずだ。
ドアをノックする。
「失礼します」
開けると、ひとりしかおらず、その先生と目が合った。松河先生だ。
「……パンフレット、お持ちしました……」
「ああ、ありがとうございます」
こんなもの、どうでも良いくせに。早く、話を済ませて戻りたい。
「あの……」
あたしの言葉を聞かず「移動しましょう」と、松河先生が立ち上がった。
「ど、どこへ」
「誰かに聞かれると、あなたも困るでしょう」
早口で言うと、部屋を出て、足早に移動し始めた。どこへ行く気……。
「松河先生、あの」
「大丈夫ですよ」
なにが大丈夫なのか。背が高く足も長い先生のあとを一生懸命ついて行く。一体、なにを。
ひとつのドアの前で立ち止まる。ここは……。
「個人面談室……」
思わず呟いてしまった。そのプレートがあるドアを開けた。パソコンがあり、椅子と机と……。入ったことは勿論あるけれど。
「ここなら良いでしょう。静かに話もできますし」
松河先生はさっとまわりを見て、誰も居ないことを確認すると、あたしの腕を掴んで中へ入れ、ドアを閉めた。



