天才に恋をした

いや…飲んでやる。


俺はリビングボードからモーゼルのグラスを出して、アイスティを注いだ。

琥珀色の液体をついで、一気に飲む。



うーん。

別に落ち着くわけじゃねぇーな。


今度はゆっくり飲んだ。



陸玖がムカつく。

何がムカつくって?



さっきから、繰り返し浮かぶ光景。



あの時、陸玖が苗を呼び止めた。

その瞬間に角田や他の連中も一斉に苗を見た。


あの場にいた全員が、

苗を苗として見た。



「真咲の妹」じゃなく、


「宮崎苗」として。



陸玖が苗を「可愛い」って言った時、あの場にいた全員に気持ちが感染した。

だから外野の女達が反発したんだ。



虫ずが走る。

苗を見るな。

誰もさわるな。

話しかけるな。



リビングのドアが開いた。

苗が入ってきた。