それだけでなく
高2から高3の時の担任・金城先生(♂)も、成績優秀な宰子や共犯たちのことを信頼していて、ゆきえには厳しく当たる時が多かった。
ゆきえに対しては
あなた時々寝てるでしょ、寝るなら帰っていいよ!
どうせ適当な気持ちだろ!
宰子さんはいっつも学年で6番以内だよ、
ということを言っていた。
偏差値を引き上げてる
成績優秀な宰子さん、須藤さんたちこそが、つまりは、偏差値を引き上げる成績優秀な人こそ大切な存在であると。


実際先生だって宰子と須藤が、
ゆきえに辛く当たるのを何回かはその目で、見てるはずなのに!!


成績優秀で賢い人がそのような愚かな真似をするわけがないし、
そのような優秀な人が進学率や偏差値を引き上げ、学校へ貢献しているのだ、そのような人が価値のある生徒だ、と。

ああ,いじめられる上偏差値もひくく
落ちこぼれな私は死んだ方いいのだ
本気でそう考えるほど本当にギリギリで絶体絶命のあぶないとこまで追い詰められていたー。
誰が彼女一人だけを責められようか????


いじめられていたとき、時々ゆきえは男性に生まれてればよかった、もちろん男性の全員がサバサバした、さっぱりした人とは限らないが、男性も性格良くない人はいる、が、男性の世界ならそこまで手の込んだ、苛酷な大変ないじめはないのかもしれない、と思ったのだ。
ゆきえは、いじめさえなければ、男性女性どちらに生まれてもまったく全然問題なかったため、性の不一致には、まったくこれっぽっちも該当しなかったものの、いじめによって、ゆきえの1人の人としての尊厳は完全に奪われ壊されてたし、なにより女性としての誇りが失われかけた。いじめられてたせいで、いじめによって、それほど、彼女の精神が蝕まれてたし、危ない状態に追い詰められた。人間不信となる、ほんの一歩手前であった。


そしてゆきえは高3のとある日
学校の帰り道もう死んでしまいたい
死のうと考えてノロノロと歩いてた時、
小銭入れをポケットから取り出して
500円玉一個だけはいってたから
これでファミレスでなんか食べてから最後になんか食べてから死んでしまおうかと本当に考えた。
たまたま近所で飼われてる
ホワンとした可愛い顔のしばいぬの
こじろうくんに微笑まれて駆け寄られて
ほおをなめてもらった。
そのときゆきえは泣いてこじろうを抱きしめた。 こじろうくんはやさしいね。
死なないでと言ってるみたい。
こじろうやさしいね。
こじろうや
ワンコやほとんどの動物は本当
意地悪もしなければ優しいな。
そのときこじろうくんが、寄り添ってくれなかったらゆきえはこの世にいなかったかもしれない,オーバーでもなく,大袈裟でもなく,本当にゆきえは,若くして
天国に若くして旅立ったかもしれないー。
大袈裟でなく本当にゆきえが若くして天に旅立ってたかもしれないのだそれほど傷が深く深すぎたー。

そして,その時の死ぬ寸前だった時の悲しく痛い気持ちが思い出されるから
ゆきえは当分、五百円玉を見るとあの時の気持ちを思い出すから五百円玉が苦手だった。
しばらくの間は,500円玉が苦手で
レジで買い物する時も
釣り銭に五百円玉含まれないように計算してだしていた。
例として2750円の買い物で、3250円出すと500円玉がくるから、小銭がたくさん余分にあっても小銭いれるとこがパンパンになってもいいから
3千円だけ出したり。(そのせいで新しい財布がすぐ壊れたことも何度か)
そして今は平気になってきたものの大学入学式の帰りに駅で買ってその夜一晩で読んだ、青川次郎先生のとある名作でも
「新しいリボン買いたいんや、
500円ちょうだい、おかん」というヒロインのセリフにぎく!となった。
それでも自分の傷を青川次郎先生に押し付けるのは違うよな、たんにリボン買いたいからおこづかいちょうだいて言ってるだけで、と、ゆきえはすぐさま思い直した。

と,長々書いてしまったけどもそれだけ傷や悲しみ痛みが、不可説不可説転の不可説不可説転乗キロメートルの深さの海より深いせいである。
いじめられていた時期に、ゆきえは、辛く苦しく悲しく自分が情けなく悔しすぎたのだ。
それを,教員や教育関係者に,他人事では決してないのだと理解いただきたいのである。
いじめられるのが、生きてるのが悲しく苦しかった。
宰子とその仲間らにいじめられるのが
ー騙されて陥れられたり
無茶な理不尽な要求されたり
根拠ない悪口言われたり
◯の方があんたより美人とかいわれたり
そういうふうに自分の容姿や体など生まれ持ったものを貶されたり否定されたりするのが悲しすぎた。


眠らずに夜通し泣くほどの悲しい気持ちは、ゆきえをいじめた宰子とその仲間にはわかるまいし、
ゆきえと全く違い、
宰子とその仲間は、眠らず夜通し泣いたこと、いじめられ辛いと感じたこと、明日やその次の日もその次の日もいじめられる不安を感じたこと、は一回だってないのだ。
なぜいじめられる方が夜通し泣くほど悲しく辛くなるのに
いじめる宰子たちはいじめられる人の悲しみ気持ちが思いが悲しい思い辛い思いが、一つもこれっぽっちもわからないし平気で生活できるのか、
とゆきえは心からそう思っていた。
納得いかなかった。
いじめられる方はとても悲しすぎるのにいじめる宰子とその仲間は
悲しむことなど微塵もないー。