「ねぇ。あたしと千代姐さんだったら、男の人は、どっちを抱きたいものなのかしら」

「え……」

 どきりと、捨吉の胸が高鳴る。
 捨吉はあきより、二つ年上だ。

 当然色事も、初めてではない。
 だが若い分、経験豊富なわけでもない。

 それに、どちらかと言うと、捨吉も受け身なのだ。
 己から女子を誘うことよりも、熟練の女子から、お遊び程度に誘われることのほうが多い。
 同じ年頃の女子を相手にしたことはない、と言っても過言でないわけだ。

「う、う~ん。ち、千代姐さんだったら、任せておけば良いようにしてくれるけど。でも駄目出しもあるしなぁ」

 視線を彷徨わせ、意味なく首の後ろを掻きながら、捨吉がぼそぼそと言う。
 捨吉のような、まだ慣れない者からすると、千代などは楽だ。

 何せ相手は女技の熟練者である。
 若造の捨吉など、ひとたまりもない。

 ただ行為の最中であっても、千代からの指導を受ける羽目にはなるが。

「勉強にはなるけど、楽しくは……ないかも」

「そうなんだ。あたしも、まだ駄目だわ」

 俯いて、あきが言う。