「だいたいね~、萩野はもっと女の子に優しく……」 佐野がなんか口うるさく言っている。 でも、さっきよりはイライラしなかった。 それは多分、 吉本の名前が出なくなったから。 深い意味はない。 多分、 俺は 吉本が嫌いなんだろう。 「おいっ」 佐野の声に品のない低い声が重なった。 前を見ると、 他校の制服を着た男が数人立ちふさがっていた。