「昨日数学の復習をやっていたんだけれど、やっぱりよくわかんなくて」


「あぁ。詩、途中から保健室に行っていたんだっけ」


「うん……」


「昨日はちょっと難しかったからねぇ。今日先生に聞いてみたら?」


スラッとそう言われて、あたしは一瞬にして先生の顔を思い出す。


そして、条件反射のようにポッと頬が熱くなった。


「詩、『先生』って聞いただけで顔が真っ赤だよ?」


「そ、そんな事ない!」


と、否定してみたって説得力なんてない。


かんなの言う通り、あたしの顔が今真っ赤だと思うもん。


「詩、今日はしっかり眠れたみたいだね」


「え、わかる?」


「うん。クマがとれてるもん」


そう言って、かんなはあたしの目元を指さした。


「そっか。うん、よく眠れたよ」


「それならよかった」


かんなは本当にホッとしたようにそう言った。


まるで自分のことみたいに心配してくれているのだ。