その瞬間、あたしの視界には安岡君と杉田君の姿が映った。


2人がドアに近い場所に立っていて、その向こうに先生がいる。


「あ……ごめんなさい。取り込み中なら、後でいいです」


少し嫌な予感がしてすぐに部屋を出ようとした。


が、それを先生が止めたのだ。


「詩、待て」


あたしを下の名前で呼びとめる先生。


「へ……?」


恐る恐る振り向くと、いつの間にか先生があたしのすぐ近くに立っていた。


あたしと先生の関係は他の人にバレちゃいけない。


そう思っているあたしは少し焦って先生を見つめる。


すると先生はあたしの手を引いて、2人の前に立った。


「お前たちには紹介しておく。昨日から俺の女になった野上詩だ」


その言葉に、あたしは一瞬頭の中が真っ白になる。


今……先生あたしのことをなんて言った……?


目をパチクリさせながら直前の言葉を思い出す。