あたしが先生の頬にキスをして身を離したとき、丁度外から生徒たちのどなり声が聞こえてきた。


あたしはグランドに面しているこの部屋の窓へ視線を向ける。


グラウンドでは男子生徒２人がなにやら言い争いをしているのが見えた。


窓にグッと身を寄せて確認すると、それは学年１不良と言われている安岡相馬（ﾔｽｵｶ　ｿｳﾏ）と、その悪友の杉田春斗（ｽｷﾞﾀ　ﾊﾙﾄ）だった。


２人ともあたしと同学年で、血の気の多いことで有名。


みんなから少しずつ距離を置かれるような存在だ。


「普段は仲いいのに、なに喧嘩してんだろ」


別に２人に興味なんてないけれど、仲良しの２人が喧嘩しているということが珍しくて、あたしはその光景を眺める。


なにか激しく言い合いをしているのはわかるけれど、その内容までは把握できない。


その時だった。


「ん……」


先生が小さく声を上げ、眉をよせた。


やばっ！


起きちゃう！