イケメン先生は危険男子でした!?

そんな事ばかり考えていたから、国語の授業は教科書もノートも開かないまま終わってしまった。


チャイムが鳴り、1時限目の授業終了の合図を知らせる。


終わっちゃった……。


国語の授業が永遠に続けばよかったのに……。


そんな非現実的な事を考えて、涙が出そうになる。


できることなら、時間を戻して昨日に帰りたいくらいだ。


あたしは教科書やノートを片づけて、重たい体を立ち上がらせた。


まるで一気に老けてしまったように、体がいう事をきかない。


「詩。あたし、ついて行こうか?」


教室から出ようとしたとき、カンナがそう声をかけてきた。


「カンナ……」


あたしはどこまでも優しいかんなに、心が温かくなるのを感じる。


でも、今はかんなに甘えている暇はない。


自分でやってしまったことを、かんなに助けてもらうワケにはいかない。


「ありがとうかんな。でも、きっと大丈夫だから」


あたしは差し伸べられた手を、そっと断った。


「じゃぁ、言ってくるね」


あたしはそう言い、カンナに手をふったのだった。