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学校に到着して自分の席に着くと、今度は黒板の上にかけられている時計が気になり始めた。


走ってきたから、ホームルームまでまだまだ時間はたっぷりある。


あたしは荷物を机の中へ入れて、絶えず動く秒針を見つめる。


あと何分で先生が教室に来る。


あと何分で先生に会える。


あたしはどんな顔をして挨拶すればいいんだろう？


先生、きっと怒っているだろうな。


できれば今すぐ教室を出て家に帰ってしまいたい。


しかし、そんな思いもむなしく時間は刻々と過ぎていき、ついにホームルームの時間が来てしまった。


教室内には生徒が全員集まり、先生が来るのを大人しく席に座ってまっている。


そして、先生が教室のドアを開けた瞬間。


あたしは反射的に顔を下へ向けていた。


先生と目を合わせないように、机の木目をにらむように見つめる。


すると先生は


「おはよ……」


と、いつもの挨拶をしたが、次に「野上」と、あたしの名前を呼ぶことはなく、そのまま教卓へと歩いて行ってしまった。