足元にも大量の本が積まれていて、そこら中に何かのプリントが散乱している。


そんな中……。


窓の前に置かれている大きな机の前で、柳本先生は椅子に座り寝息を立てていたのだ。


あたしはその光景にドキッと心臓がはねる。


今まで見たことのない先生の一面を自分だけが今見ているのだ。


そう思うと、胸の奥がキュンッとして暖かな気持ちになった。


足元に散らかっている物たちを踏まないように、そっと先生に近づいて行く。


綺麗な顔……。


閉じられた目はまつ毛が長く、定期的に繰り返される呼吸にさえ愛しさを感じる。


あたしは先生のフワフワした髪の毛にそっと触れてみた。


見た目通り柔らかく、少し癖っ毛だ。


「可愛い」


思わずそう呟き、クスッと笑う。


寝顔はあたしたちと何も変わらない、まだ未成年のような幼さがあった。