「条件を呑んでもらえないのなら、あたしは明日全校生徒にここに入っている動画を流します」


そう言い、あたしはポケットの中の携帯電話を取り出した。


本当はあの時画像を撮っている暇なんてなかった。


驚きすぎて、逃げて帰ってしまった。


でも、なにも証拠がない状態ではきっと断られてしまう。


だから、一か八かで嘘をつくことに決めた。


『動画を見せてみろ』


そう言われたら、この計画はすべて台無しだ。


ドクドクと心臓が高鳴り、緊張して汗が噴きでる。


それでもあたしは笑顔を浮かべて先生を見つめていなければならず、次第に自分がどんな顔をしているのかも、わからなくなった。


先生は長い時間考え込み、チクタクと時計の音だけが部屋の中に聞こえてきていた。


そして……。


「わかった。その条件を呑もう」


もうダメかと思ったその時、先生がそう言ったのだ。