イケメン先生は危険男子でした!?

あたしは先生の声を聞いただけで心臓がドクンッと跳ねる。


それでも、それを悟られないように返事をするのは、至難の業だった。


「あたし、野上です」


そう言うと「おぉ~詩か。入っていいぞ」と、返事がきた。


あたしは緊張して汗のにじむ手でドアノブを握る。


冷たい銀色のノブが、今は手に心地よかった。


「失礼します……」


小さな声でそう言い、ドアを開ける。


中を見ると、そこはこの前と変わらず本やプリントが渦高く積まれていた。


先生はその向こうの椅子に座り、こちらに顔を向けている。


「今日はどうした?」


そう言いながら小首をかしげるその姿に、あたしの胸はキュンッとする。


甘酸っぱく跳ねた恋心はとどまる事を知らず、あたしの口をついて先生の鼓膜を震わせることとなった。


「ねぇ先生、先生って可愛いよね」


「……は?」


突然のあたしの言葉に柳本先生はキョトンとしてあたし見る。


その瞬間、あたしの中で何かが吹っ切れる音がした。