あたしはクルッと方向転換して下駄箱へ向かおうとした……その時。


【資料室】の中からコトンッと小さな物音が聞こえて来て、あたしは振り返った。


誰かいるのかな……?


あたしはそう思い、もう1度ノックをしてみた。


しかし、やっぱり返事はない。


さっきの音は気のせいかな……?


そう思いながらも、あたしはおずおずと銀色の丸いドアノブへと手を伸ばした。


柳本先生がいない時は必ずカギがかけられている。


だから開くハズがないと思ったけれど……そのドアは簡単に開いたのだ。


え……?


あまりにアッサリ開いたドアに戸惑いながらも、【資料室】の中を覗き込んで見た。


【資料室】の中は埃っぽく、ガラス窓から差し込む西日でホコリがキラキラと光って落ちて行くのが見えた。


天井まで届く本棚にはビッシリと資料が並べられているが、どれも古びていて使われているのかどうかもわからない。