「じょ、冗談やめてよぉ……。先生はこないってば」


ハハハッと笑い声を上げるけれど、顔はひきつって笑顔を作ることができない。


しかし2人の男はジリジリとあたしに近づいてくる。


あたしの背中には大きな窓。


に、逃げ道がない……!


男がいやらしい笑顔を浮かべて手を伸ばす。


その手があたしの腕を掴む瞬間、あたしは近くにあったツボを片手で掴み目を閉じて無我夢中に振り回していた。


「いやぁー!!! こないでぇー!!!」


そんな奇声を上げながらツボを振り回していると、ゴンッゴンッと2回、ツボに何かが当たる感覚があった。


それでもあたしはツボを振り回すことをやめず、「わー! わー!!」と声をあげながら自分の身を守ることで精いっぱいだった。


「おい、詩。なにしてんだお前」


そんな呆れた声が聞こえてきたとき、あたしはようやく目を開けたんだ。


「……せん……せい?」


目の前には大好きな先生がいてあたしは脱力してツボをその場に落としてしまった。