イケメン先生は危険男子でした!?

あたしは軽くため息をはきだした。


今さらあたしを誘拐したって遅いのにね。


「でも、あたし柳本先生とはもう別れましたよ?」


そう言うと、男は目を丸くして「は?」と、口をポカンと開ける。


「別れたんですよ。あたしが先生との約束を破ったのが原因で。


だから、あたしを誘拐したって先生は来ませんよ?」


「おいおい、まじかよ」


今度は運転席に座っている男がそんな声を出した。


困っているような口調だ。


なんだか少し申し訳ない気分になってしまって「すみません」と、小声で謝る。


「でも、この娘が嘘をついている可能性だってあるんじゃないか?」


「あ、なるほど。別れたことにして解放させようって魂胆か」


「そうそう。【黒龍】の女なら、そのくらいの頭持ってるだろ」